| 30年間の成功と失敗 〜PEX農業技術交流会の講演内容より〜 |
| P E X 農 業 技 術 交 流 会
日 時 平成12年11月24日 会 場 浜松市 ホテル呉竹荘 主 催 “21”自然ONの会(浜松のPEX農業及び超活性炭研究会) 後 援 株式会社 東海有機農産 |
| ●竹山(司会:"21"自然ONの会副会長) 只今より、第2部に入ります。始めに"21"自然ONの会の理事長の藤沢さんよりお願い致します。 ●藤沢(浜松農家:"21"自然ONの会理事長) では、浜松PEX農業を代表して述べさせていただきます。30年昔からの電子農業あるいは炭を利用した農業につきまして、皆さんの色々な成功例をお聞きしましたが、成功ほどバカバカしいことはないと私は思うのです。失敗ほどおもしろいと私は思うのです。失敗がなければおもしろくないですよね。そうじゃあないでしょうか。自転車でも最初から乗れたらおもしろくないですよ。体で覚えてそれで1歩1歩上達するところに喜びを感じるのではないかと思うのです。私は、以前、電子農業の時に、第1回の大失敗をしています。電子と炭との関係で、農地にいっぱい炭を入れるほど良いということで、茶畑1反に30トンの炭を入れました。そうしたら土の色が黒く変わってしまいました。これは、良くなるはずだと思ったら、だんだん日がたつにつれて3分の1が枯れてしまったのです。その後、土中に空気を入れればいいだの、水をかければいいだの、色々工夫し、徐々に回復しつつありますが、昔の姿までの回復にはまだまだ及ばないという状態であります。私が率先して試行錯誤している関係上、失敗談成功談を皆さんに紹介すると、皆さんの情報も非常に沢山集まってきます。これを称して、役得だろうと思っています。 去年大失敗した人の例もお話します。この人の家には栗が2本ありまして、最初PEXパウダーをかけたら例年より良い実がなりました。それでもっと良くしたいと思って、奥のほうの木に、思い切りパウダーをかけたら、その木の実がみんな枯れてしまって、1粒も獲れなくなってしまったんですね。大失敗ですよね。「おめでとうございます」。そのくらい失敗しないと人間というものは目が覚めないんですよね。2度と同じ失敗はしないでしょう。失敗の連続で、お互いが喜んで失敗を克服していく、失敗の競争のような、そんな集まりでいいのではないかと私は考えております。以上で終わります。 ●竹山(司会:"21"自然ONの会副会長) それではいよいよ本題に入りますので、上田先生よろしくお願い致します。 ●上田(後援:株式会社東海有機農産) 昭和42年から日本電子物性が日本電子農業総合研究会ということで発足しました。 その当時はまだまだ創々期で学術的な実験検証が少なかったのですが、経験的な話から活性炭をとことんつかうと植物の発育を妨げる汚染物質が除去され、土壌環境が整い高品質の作物が多収穫できるといわれていました。当時は「炭を制する者は世界を制する」というキャッチフレーズで各地区で電子農業の講演が行なわれました。当時は、炭の理論的な認識が希薄で、完全に炭素化されていない炭が沢山使われました。いわゆる燻炭というより材木に近い炭を入れた人も大勢います。そのため土のなかにカビが生えて、どうにもならない状態になった人が多くいました。農地に炭を何十トンと入れられた訳ですね。入れた当初は、炭の分極による静電引力(クーロン力)によって、汚染物質を除去できるので、作物が良い成績を出したと言うことです。しかしそうした良好な土壌環境(水、空気の吸収分圧)は長く続かず、どんどんと使えば使う程、炭が周りの汚れを全部吸って汚染されてしまうのですね。特に先程講演された藤沢さんとはもう30年近くおつき合いして私も失敗例の生き証人として見させて頂いているわけですが、最初は炭を使いすぎるという失敗に始まり、つづいてミカンなんですが、根の周りに水と空気を送るために、2町歩当たりのミカン園に何千メートルというエンビ管を地中に敷設しまして、それから電子水の注入及び散水装置を20台、150トンの地下貯水槽、それに電磁弁を設けまして、スイッチONで2町歩の畑全体に潅水もできるし、水を撒くことができるという大がかりな装置で、徹底的にやられたのですね。その時に最初のミカンの味は周りが驚くほど良いもので、「こういう良いミカンであれば」ということで東京の一流の果物店が、当時一箱二千円のミカンなら、藤沢さんのは一万円でもいいから分けてくれというミカンを作り上げたのです。でもこれが持続できないという宿命にあいまして、藤沢さんの農場もどこもそうですけど、4〜5年で、成績がだんだん悪化して、最後にはミカン園もほとんど実がならなくなってしまう位、ひどい状態で荒れてしまったのです。 そこで立ち上がって、一体この失敗の原因はどこにあるのかと色々試行錯誤する中で、やはり活性炭というのは、炭素化率が非常に高くなければいけないこと、例えば炭素化率90%以上必要であり、なおかつ今までの常識では考えられなかったことですが、炭がカップ型の多孔質で、汚染物質も吸収してしまえば、周りは浄化するけれど、溜め込んでしまった汚物をどうするのかということは、どこも解決していないことでした。特に上水道関係の沈澱槽などで活性炭の濾過槽を使っても、これを数回くぐらせたらもう吸収が飽和状態になり再生処理しなければ使えないという、これはカップ型なるが故の、活性炭の限界であると気がついた訳です。 これはやはり、何としても、貫通型の活性炭ができないものだろうか。できない訳はない、できるはずだと。ともかく植物繊維である限り、樹液が通る導管は存在し、導管内の樹液を気化させてしまえば、穴が空くのではないかと考えました。その装置の開発に10年かかった訳です。やっとでき上がり、効果確認のために、小川さん(渥美農家)、藤沢さん(浜松農家)とまわりの方々にPEXパウダーという形で提供した訳です。それが今日の状況で、今までの炭との違いが証明されつつあります。例えば、10年間にわたるゴルフ場の芝の観察記録では、芝は枯れることなく、ますます根が伸びて、根の深さは約20cmになっております(普通は5〜6cm)。普通の芝は4〜5年で寿命を迎えるのですが、これが10年たっても劣化どころか、益々芝が勢いを増しておりますので、少なくとも10年間は貫通型活性炭の効果が保障できたというのが今の段階です。 皆さんのお手元に配らさせて頂きましたPEX農業説明資料は、PEX農業というものが一体何であるのか、また、この農法では活性炭に対する従来の概念を変えなければいけないということで、一番最初にまとめあげたものです。何回も読み返して、脳裏に焼き付けて頂きたいと思います。PEX農業の技術的な向上に寄与している要因として、活性炭の内容を説明させて頂きます。その前にPEXという名称ですが、Plants Expert に未知数のXを加え「植物栽培に無限の可能性を秘めた専用資材」という意味を込めた商品名であり、一般に使う言葉として適切ではありません。学術的には超活性炭と呼ぶ方が適切なのかもしれません。この超活性炭は細孔内容積が全容積の33.7%を占めていることが最も注目されている特性です。この細孔が活性炭の中で非常に細い迷路となり、出口と入口がつながった状態で存在しており、この中に入った水がたえず動いているというのが、超活性炭のミソです。その次に、この細孔が貫通型であるため、周辺の水がこの細孔を通過する度、水をクラスター化する(これは推論ですが、実際、植物の根からの水、酸素、養分の吸収が一段と高まることからクラスター細分化していると考えられる)というように働きかけていることです。 細孔の直径は5〜10Åであり、水の理論的最小分子集団単位である4.4分子の直径は平均約8Åであるため、水が細孔を通過する際にクラスター化できるのです。推論ですが、水分子のクラスター化によって、土中の水と酸素の分圧を根の周り全領域に行き渡らせることができ、水と酸素を吸収しやすく出来ると考えられます。水と酸素の吸収増加にともなって根は3次、4次根まで伸び、根の表面積が通常の5倍、6倍と大きくなり、水、酸素、肥料、栄養素の吸収レベルが高くなって行きます。ここで注意して頂きたいのが、吸収レベルが高まった分だけ肥料を減らして頂かないと、とんでもないことになってしまうということで、これがPEX農業のベースとなっています。これらの効果によって、先ほど述べたゴルフ場の芝生の観察記録のように普通5〜6cmの根群域が約20cmも伸びて、なおかつ先端の部分が真っ白な健全な状態を示した訳です。この芝生は、10年経過しても普通のゴルフ場のものとは比べものにならないくらいの密生型で、益々旺盛です。大体のゴルフ場は、芝の植え替えを必至に行ってコース維持している訳ですが、超活性炭の使用によって芝の植え替え作業が不要となったことが証明された訳です。藤沢さんの失敗談では、普通の炭を茶畑で何十トン、ミカン畑で何十トンと入れ続け、同時に肥料、堆肥、酵素の検討もされました。例えば、豚糞、鶏糞を300〜400℃で熱処理して完全に分解するプラント装置も設置して、盛んに完熟堆肥として入れられました。しかし抜道無しの肥料投与により、土中に肥料が蓄積充満し、どんどんと根腐りしていきました。最後にはどうにもならないということで、畑を約10m間隔の碁盤目状に、深さ約3m掘り起こしたのですが、酷い物が発見されたのです。基盤である砂岩層とその上の赤土層に挟まれたわずか40〜50cmの砂層に、微生物全てが死滅する、グライ化現象を起こした有機物を発見したのです。その砂層は悪臭を放ちながら、窒素酸化物の巣になっており、このような状態が根を腐らせていた訳です。こうしたグライ化現象まで確認して、いくら良い水、良い装置だといっても、土中の排水性というものを配慮しないと、とんでもないことになるのだと分かりました。大胆に水や肥料を与えても、抜道が無ければ、水と空気が絶えず生きたかたちで吸収できない、これが悲劇の始まりです。まずは水の排水性ということを第一に考えて頂きたい。次に、皆さんが今まで使われてきた残留肥料がどんなものであるのか、作物の経過をもう一度思い起こして、メモをとって頂きたい。日記をつけて頂きたい。どれくらい肥料過多であるのか、植物全体の健全度はどうかなどは、そういう環境要因を総合的に考えないとおそらく語れないんじゃないか思います。このような農業日記があってこそ、小川さんと今まで20数年間、色々な理論、実践を戦わせながらやってきた様に、栄養周期論、微量要素の問題、ホルモンの問題等を総合的に考えることができます。 ちなみに、「従来の活性炭は、本当の活性炭じゃない」と言うのが私の見解です。木炭、竹炭、備長炭等、通常世の中で活性炭と呼ばれているものは、実際物理的に検査すると燻炭なんですね。活性炭の定義は、「1gで1000〜3000m2の表面積がある炭」ですが、従来の活性炭ではその数値は全く達成されていません。木質材を約1000℃で焼いても1gで約800 m2でした。1000 m2以下の表面積でしたら活性炭と言えないと考えております。ちなみに、石油、石炭を原料とした活性炭は、ほとんどが1gで1000 m2以上の表面積を有しております。一方、細孔についても活性炭メーカーと一緒になって相当調べたのですが、どの炭を調べても細孔内容積が全容積の10%以下で、活性炭の定義「33%以上」を満たしておりませんでした。さらに、細孔直径が10〜20Åと大きいために、「細い通路通過により、水をクラスター化する」こともできません。ただ炭の分極による静電引力(クーロン力)によって、汚染物質を除去できるので、始めのうちは効果があります。とにかく炭の本質、活性炭の本質が何であるのかということを、もう一度基本原理にのっとって考え、植物の育成に最適な場を作って頂きたいと思っております。 それから、植物の育成に適した活性炭は不定形炭素(結晶構造を持たない、つまり炭素原子が不規則に結びついた構造、酸素等の不純物を少量含む)であることが大事なポイントです。今まで日本で活性炭と呼ばれてきたもののほとんどが石油や石炭を原料としたチャコールからできており、多孔質であるため吸着能力が旺盛です。ところが、チャコールは主に結晶構造からできているために、分極による静電引力(クーロン力)によって物質を引き寄せる能力は高くありません。活性炭なら何でも良いという訳ではありません。不定形炭素であることが大事なポイントです。これを誤らないようにして頂きたいと思います。超活性炭は結晶構造を持っていない不定形構造になっており、微量の酸素を骨格内に含有している事により、骨格内部に永久分極性(プラスとマイナスの両極性が分散している状態)を持っていると考えられます。分極による静電引力(クーロン力)によって、様々な物質を引き寄せ、各種の環境悪化原因となっている分子を強力に排除・分解する性質を持っています。(科学的には実証されておりませんが、30年来の経験より推定)このように植物の育成に適した環境を整えた状態で、例えば苗作りの時の様々な好結果を先程皆さんに報告して頂きました。超活性炭パウダー(PEXパウダー)を使うと根の張りが全然違う、育苗段階では肥料をあまり必要としないということを、皆さんは確認された訳です。まずは正しい環境条件を整えることが圃場全てに大切なことであり、その条件の上に農業技術論ができてくるのではないかと考えています。また、これは農業分野だけに限ったことではなく、世の中の諸々の生活形態から出てくる汚染物質とか環境破壊というものの処理方法がここに全部起因しているのではないかと考えております。すなわち環境保全だけではなく環境浄化まで考えなければならない。このような観点から、肥料過多による土壌汚染を引き起こさないためにも肥料は1/3〜1/5に落としてください。かつて電子農業で非常に良い作物ができた時に、福井大学の三鍋昌俊教授が、肥料過多の弊害について一生懸命追求しております。植物に活性炭を投与する実験をやられて、肥料吸収が非常に激しいことから、「活性炭を投与する場合、肥料量を1/3〜1/5に減量する必要がある。」という見解を、昭和47年に稲作論文で発表しております。 植物栽培というものは環境要因だけではなくて、現代農業の一番のポイントになっているのは植物生理学です。隣に東京農工大の武永先生がおられる場で、私がおこがましいことを言うのは恥ずかしいのですが、やはり光合成と植物のホルモンと微量要素、これを適時、適材、適所、どのように利用していけば良いのか、いわゆる生理環境とか色々のケミカル的な要因、物理的な電子伝達、酸化還元、電位の要因等、全てつながってくるものではないかと考えています。ところが、色々学術書を見まして、こういうデータがあると言っても、どうもまだまだ納得できないのは、これまで私が調べた農業専門書の内容として環境要因が一つも書かれていてないという点です。ですから電磁場が高い状態でどうなるのか、ミトコンドリアの働きからATP合成の効率化、Zスキム(葉緑体の光吸収スペクトルの総称)から光を吸収しての炭酸同化からATP合成に至る電子伝達系の考証など、是非大学等の研究機関で、今後追求して頂くことを期待しております。 最後に、ここにお越しの皆さんは来年の作物計画をどうしようかとお考えのことと思いますが、環境浄化要因と、栄養周期理論に基づいて励んでみたらどうだろうかということで、お米をテーマとしての生産目標を皆さんの手元にお配り致しました。これはコシヒカリの例ですが、もちろん無肥料を出発として1株やはり10本位植えてください。肥料が少なければ10本が30本以内の分ケツ状況にして、水管理によって3倍体以上には増やさないようにします。また、必要な窒素肥料の吸収時期と量については、振子理論の手段を用いて管理します。これまでの経験により微量要素等の諸々の手段もしっかりしてきました。1坪当たり90株を植えてもムレ状態にならないことを確認していますから、皆さんも経験を信用なされて、1坪当たり90株としてください。先程食べて頂きました小川さん(渥美農家)と日内地さん(浜松農家)のお米も、そういう状態で作った物です。私も現場で粒数を確認させて頂きましたが、1穂当たり平均120粒有りました。サンプル数が少ない状況ですが、現時点では1穂当たり110粒というのがPEX農業の妥当な数字だと考えております(通常の稲作では1穂当たり80〜100粒程度と言われています)。次に、白米重量についてですが、1000粒で22.3g有りました(糠重量を含めると24g以上)。これは年表に書いてある玄米1000粒で21gに対して、1割以上の重量アップになっています。これらの結果から、1反当たりで8910万粒(1870kg)であり、歩留まりを80%と仮定して、1反当たり1500kg(約25俵)の収量を見積もっております。なお、秋落ちしない管理方法についても明確に分かってきておりますので、この生産目標値は妥当であると考えられます。 時間もだんだん迫ってきましたから、それでは次に武永先生にスライドやデータに基づく学術的な説明をお願いしたいと思います。 |
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